染付向付について:以下、有田焼と九谷焼の染付の世界をご紹介しています。
初冬の寒さが肌を刺す頃、私は祖父から譲り受けた有田焼の染付の向付を棚から取り出す。白磁の素地に青い染付が映える器は、どこか凛とした佇まいを持ちながら、手に取るとほっとするような温もりを感じさせる。不思議なものだ。器が持つ温かさは、使い手の心にまで染み入るように思う。





向付とは、主に懐石料理や会席料理で刺身や和え物を盛るための器である。その中でも、染付の向付は特に風雅な印象を与える。江戸時代から続く有田焼の染付技術は、濃淡の美しい青が特徴で、職人たちが筆で一点一点描く模様には命が宿っているかのようだ。私の向付には、繊細な草花模様が描かれている。何度見てもその筆致に心を奪われる。単なる器という枠を超え、まるで一枚の絵画を手に取っているかのような感覚に陥る。
ある日、季節の食材を使った煮物を盛り付けてみた。器の青が料理の彩りを引き立て、料理がまるで生き生きとして見える。祖母が「器も料理の一部なのよ」と言っていたことを思い出した。器は単なる盛り付けの道具ではなく、料理をより美しく、そして心に響くものにする魔法のような存在だ。有田焼の染付の向付はその魔法を強く実感させてくれる。





文吉窯
古染向付 貝型海老文
サイズ 約W18xH3.5cm
素材 陶器
生産地 石川県
器を手にするたびに、私はその背景に思いを馳せる。江戸時代、有田の地で生まれたこの焼き物が、いかにして私の手元に届いたのだろうか。職人の技術、歴史の流れ、そして受け継がれる文化。その全てがこの小さな器に詰まっているのだと思うと、何とも感慨深い。



有田焼 染付竹垣福寿字紋 隅切向付(鉢)
【産地】有田焼
【サイズ】約w13.8×D13.8×H5.8cm
【素材】磁器
有田焼の染付向付は、日常を少しだけ特別なものにしてくれる。料理の彩りを引き立て、食卓を華やかに彩り、そして心を豊かにしてくれる存在。これからも私は、この器に料理を盛り付け、四季の移ろいを感じながら、食卓に小さな幸せを灯していきたい。

