京焼(きょうやき)は、京都で焼かれる陶磁器の総称であり、日本のやきもの文化の中でもとりわけ優美で、絵画性に富んだ意匠を特徴とするやきものです。その姿はまさに「和様の美のエッセンス」を集めたようなものであり、鑑賞の器としての魅力、そして料理の引き立て役としての実用性を兼ね備えています。



名工の系譜が支える、京焼の古典美
京焼は、個人作家の才能が際立つ世界です。江戸時代初期の「野々村仁清(にんせい)」は、京焼を芸術の域に押し上げた先駆者。彼の作品は、白い磁土に鮮やかな色絵を施した華麗な意匠が特徴で、特に金を巧みに使った雅な作風で知られます。仁清のやきものは、茶道具としても高く評価され、茶人たちに愛されてきました。
その仁清に学んだ「尾形乾山(けんざん)」は、より自由な発想と造形で知られ、詩や絵のような感性を器に吹き込んだ作風で人気を博しました。彼の器には、手書きの筆跡や余白の妙が生きており、どこか物語を感じさせるような趣があります。
江戸後期には、「奥田潁川(えいせん)」が登場し、本格的な色絵磁器を手がけました。潁川の呉須赤絵(ごすあかえ)は特に有名で、ラフながらも洗練された筆致で、独特の温かみと遊び心をもつ作品を多く残しています。また、染付(そめつけ)の名手として知られる「青木木米(もくべい)」も忘れてはなりません。彼の作品は、緻密な描写とバイオレットブルーとも称される鮮やかな青の発色が特徴でした。



写しの美学と職人技
京焼のもう一つの特性は、「写し物の巧みさ」です。他の産地のやきものを取り入れ、京風に洗練させた作品が多く見られます。たとえば、古伊万里風の染付、金襴手(きんらんで)、祥瑞(しょんずい)などがその代表。中でも染付では、京焼ならではの丹念で細やかな筆使いが活きており、青の美しさは格別です。特に、青木木米の染付には独自の気品と凛とした美しさがあります。
また、色絵の分野でも、潁川以降、華麗な金襴手の作品が多く作られるようになり、現代では緑地に金彩をあしらった「萌黄地金襴手(もえぎじきんらんで)」のような大胆で装飾的な器も人気を集めています。
薄手で軽く、使いやすい実用品としての京焼
京焼は見た目の美しさだけでなく、軽やかで扱いやすい点でも高く評価されています。他窯の写しであっても、京焼では本歌よりも薄く、軽く仕上げられることが多く、それが結果として、料理人たちが重宝する理由のひとつになっています。料亭や割烹の現場で多用されるのは、京焼が見た目の華やかさとともに、プロの仕事を妨げない機能性をも兼ね備えているからです。



美と機能を両立するやきもの
京焼は、鑑賞のためのやきものとしての魅力に加え、日常の器としても実用的に使える優秀なやきものです。その背景には、名工たちが築いた技法の伝承、他窯の美を取り入れる柔軟さ、そして現代の感性に応えるデザイン力があります。
一客の器に込められた「京の美意識」。それは、華やぎの中にある静けさ、精緻さの中にあるぬくもりといえるかもしれません。日々の食卓に、ひとつ加えてみたくなる——そんな魅力を京焼は持ち続けています。
京焼【宮地英香】仁清 紫陽花 抹茶碗


京焼【宮地英香】仁清 紫陽花 抹茶碗
【寸法】直径:約12cm、高さ:約8cm
茶道具・茶器 抹茶茶碗 乾山 桜、京焼 山川嘉山作


茶道具・茶器 抹茶茶碗 乾山 桜、京焼 山川嘉山作
寸法 径12.2cm、 高さ8.0cm。
京焼 清水焼 彫赤絵花鳥湯呑 雙楽 小
リズム感あふれる赤絵模様。彫と赤絵が見事に調和しています。年中使って頂けるモチーフです。昔の清水焼のイメージ。内側や高台の中まで丁寧な仕事がしてあります。


京焼 清水焼 彫赤絵花鳥湯呑 雙楽 小
寸法 小 直径7cm 高さ8.5cm 木箱

