手のひらの美学 ― 和食器のぐい呑み

粉引ぐい呑45・辻村塊 和食器
粉引ぐい呑45・辻村塊

ぐい呑みとは何か

それは、ただの小さな酒器ではありません。和食器の世界において、「ぐい呑み」はやきものの魅力が凝縮された、まさに掌(てのひら)の芸術品です。日々の晩酌に使われる盃(さかずき)の一種ですが、その存在は、使うためだけでなく「愛でる」ためにあります。

かいらぎぐい呑(YT-064) 作家「多屋嘉郎」
かいらぎぐい呑(YT-064) 作家「多屋嘉郎」

かいらぎぐい呑(YT-064) 作家「多屋嘉郎」

■素材  陶器
■サイズ 約φ7.5cm×H5.5cm
■手触り ざらっとしています。
■重量  約140g
■容量  約90cc

   

   

「酒器」であることの意味

ぐい呑みは、もともと日本酒を味わうための器です。盃よりも少し深さがあり、徳利(とっくり)から注がれた酒をたっぷりと受け止めるサイズ感。けれど、その「飲む」機能は、この器の価値のほんの一部にすぎません。

使いやすさで選ぶものではない

ぐい呑みの選び方に、「手に馴染む」とか「軽くて使いやすい」といった基準は必要ありません。むしろ、少し重くても、口当たりが独特でも、自分が美しいと思えるものを選ぶべきです。それは、理屈ではなく感性で選ぶべき器だから。

置いて愛でる、持って愛でる

ぐい呑みは、酒を飲むその瞬間だけでなく、棚に置かれたときの佇まい、光を浴びたときの景色、掌に包み込んだときの温もりまで含めて楽しむもの。
釉薬の流れ、土の肌合い、焼成による景色の偶然性――それらすべてが、小さな器の中に詰まっています。

そして、使い込むうちに生まれる貫入(ひび模様)や、わずかな色の変化もまた、ぐい呑みの「物語」になるのです。

手の中の宇宙 ― やきものの魅力が凝縮された存在

ぐい呑みは、まるで「やきものの縮図」。志野、織部、備前、唐津、萩、伊賀、そして現代作家の自由な造形――さまざまな技法と美意識が、手のひらに収まるサイズで表現されています。
ひとつひとつが、作り手の哲学と美意識を映す、小宇宙のような存在なのです。

さぁ、あなたならどのぐい呑みを選びますか?

お気に入りの一杯のために、今日の気分のために、または飾っておくだけのために――ぐい呑みは「使う」だけでなく「付き合う」器です。理屈抜きで、ただ「いいな」と思えるものを、どうぞ自由に選んでください。

あなたの掌に収まる、たった一つの美しさを。

粉引ぐい呑45・辻村塊
粉引ぐい呑45・辻村塊

粉引ぐい呑45・辻村塊

おおよそ直径6.4 × 5.6 × 高さ3.2cm

   

   

于海 天目 ぐい呑み
于海 天目 ぐい呑み

于海 天目 ぐい呑み

サイズ φ6.7 x H4.8cm 80cc
素材 陶器

 

  

   

三島手 ― 文様と土の美が織りなす、静謐な器の世界