四国・愛媛県の内陸部に位置する砥部町で生まれた「砥部焼(とべやき)」は、その分厚くどっしりとした器体と、素朴な筆使いの絵付けが特徴のやきものです。現代の食卓でもなお、多くの料理人や家庭に愛され続けるその背景には、華美ではないからこそ引き立つ、料理との絶妙なバランスがあります。

砥部焼 千山窯】赤線唐草の丸碗
サイズ 約 径12.8cm×高さ7.2cm
窯出し時期などによって多少の違いがございます
重さ・容量 340g 前後 ・ 550ccぐらい
■ 厚みのある器――日常に耐える丈夫さ
砥部焼の器は、他の和食器と比べても明らかに「厚み」があります。これはもともと、日常使いに耐えうる「丈夫なうつわ」を目指した結果です。江戸時代後期の創業以来、庶民の食器や生活道具として発展してきた砥部焼は、農家や商家の日常で頻繁に使われるため、欠けにくく割れにくいことが何よりも求められました。
現代でもこの設計思想は受け継がれており、電子レンジや食洗機に対応するものも多く、まさに「実用のうつわ」として、毎日の食卓で活躍します。
■ 簡素な絵付け――藍の筆が語る静かな美
砥部焼の絵付けは、白地に藍一色で描かれるものが主流です。丸や線、唐草模様、花や植物などが大胆かつ素朴に筆で描かれ、どこかあたたかみを感じさせます。その筆致には、無理に整えようとしない自然さがあります。
これは、砥部焼が「暮らしの器」であり続けてきたことを表しています。工芸というより「道具」としての美しさ。主張しすぎず、料理の彩りを受け止める「背景」として機能するのです。素朴な煮物や焼き魚、ぬか漬けなどの家庭料理と合わせると、料理がすっと映えるのはそのためです。
■ 歴史と物語――伊予の国のやきもの
砥部焼の始まりは、18世紀後半、伊予松山藩が磁器の産地として育てようとしたことに由来します。もともとこの地は、砥石の産地(砥石=砥部)として知られており、石の粉から陶石を得られることがわかると、白磁の生産が始まりました。
明治以降は民芸運動の影響も受け、柳宗悦やバーナード・リーチが注目したことでも知られています。彼らが見出したのは、職人の手によって自然と生まれる「用の美」でした。決して華やかではないけれど、暮らしの中でこそ輝くうつわ――それが砥部焼です。
■ 現代の砥部焼――新しい風と、守りたい形
現在では、約100軒以上の窯元が砥部町を中心に活動しており、伝統的な藍の絵付けに加え、色彩やデザインの幅も広がっています。若い作家たちによるモダンな形状やカラフルな絵付けも登場し、カフェや洋食に合わせた器としても注目されています。
とはいえ、根底にあるのは「暮らしの中で育つ器」という精神。日々使い続けられる丈夫さと、盛りつけた料理を引き立てる静かな存在感――それが砥部焼の真髄です。
■ 砥部焼のある食卓に
和食器の世界には、繊細な絵付けや華やかな金彩のうつわもありますが、砥部焼は「料理の受け皿」としての器の原点を思い出させてくれます。厚手の器に盛られた一膳のごはん。ほんのり湯気の立つ煮物。飾らない日常の中にある、ささやかな豊かさ。それを支える砥部焼は、まさに「使うことで完成する器」なのです。

【砥部焼 千山窯】からくさの玉ぶち皿(5,5寸)
サイズ 径16,5cm×高さ3cm
重さ・容量 340g~370gくらい

【砥部焼 山中窯】唐草紋のコーヒーカップ
サイズ カップ:径8.5cm×高さ6cm前後
ソーサー:径15cm×高さ2cm前後
重さ・容量 カップ:150g~160g前後 ・ 200cc/適量で140ccくらい
ソーサー:210g~240g前後
色・特徴 小さな鉄点が入ったほんのり生成り掛かった白磁
青味掛かった鉄色の染付

【砥部焼 梅山窯】からくさの角皿(5.2寸)
サイズ 16cm×10.5cm×高さ2.3cm前後
窯出し時期などによって多少の違いがございます
重さ・容量 275~285g前後
色・特徴 ほんのり青味掛かった白磁 藍色の染付け
窯出し時期などによって多少の違いがございます

