九谷焼(くたにやき)は、石川県を代表する伝統工芸品で、江戸時代から続く日本の陶磁器です。特徴的な色使いや細密な装飾技術により、国内外で高い評価を受けています。特に九谷焼の作品は、芸術品としての美しさだけでなく、日常使いの器としても親しまれています。そんな九谷焼の器のなかで、藍の発色が奏でる旋律が美しい祥瑞手の図柄の作品をご紹介します。

この鉢は縁の広く浅い輪花形の小鉢で、口縁部が花びらのように波打つ「輪花(りんか)」のデザインが採用されています。
器の形状は上品で華やかさを持ち、視覚的な魅力だけでなく手に持った際の心地よさも考えられています。
鉢の表面には、風車を思わせる緩やかに曲がった帯状の模様が10数本描かれ、それぞれに祥瑞風の幾何学的なパターンが染付(呉須の藍色)で繊細に描かれています。祥瑞風のデザインは、吉祥文様として古くから日本で好まれています。
輪花の口縁部分には鉄釉(てつゆう)が施されており、染付の藍色と対照的な落ち着いた色合いが全体を引き締めています。
鉢の中心部分には円状の枠があり、その中に牡丹の花が呉須の藍色で丁寧に描かれています。牡丹は富貴や繁栄の象徴とされ、高貴な雰囲気を作品に加えています。


作品全体は、染付特有の深い藍色と鉄釉の落ち着きが調和し、シンプルでありながら非常に洗練された美しさを持っています。
伝統的な技術でありながら、現代のインテリアや食卓にも馴染むデザインです。
実用性と芸術性の両立:食卓での使用に適した実用的な器でありながら、芸術作品としても飾る価値があります。
染付や鉄釉などの技術を駆使し、九谷焼ならではの美しさを表現しています。
祥瑞風の幾何学模様や牡丹の花には、使用する人の幸福や繁栄を願う意味が込められています。
この鉢は、日々の生活を彩るだけでなく、特別な場面でも品格を添えてくれる逸品です。
染付:祥瑞風捻輪花鉢・樋山真弓《小鉢・16.0cm》



染付:祥瑞風捻輪花鉢・樋山真弓《小鉢・16.0cm》
おおよそ直径16.0 × 高さ4.4cm

