小さな器に広がる美と遊び心
和食器の中でも、日々の食卓で出番の多いのが「小皿」と「豆皿」。醤油皿や薬味皿としてはもちろん、珍味や漬物、おつまみを少し盛り付けたり、取り皿として使ったりと、その用途の広さは実に多彩です。
選ぶ楽しみ、集める喜び
銘々皿としてよく使われるのは四寸(約12cm)や五寸(約15cm)の小皿ですが、それよりもさらに小さな、直径10cm未満の器は「豆皿」や「手塩皿」と呼ばれ、愛好家も多い分野です。中には直径6cmほどの、まるで雛道具のような可愛らしい豆皿もあり、その小さな面積の中に、作り手のセンスや遊び心がぎゅっと詰まっています。
サイズは小さくても、文様や意匠には驚くほど手間がかけられており、染付、色絵、赤絵、金彩など、産地や作家の個性が光るものも数多く見られます。四季を感じさせる花鳥風月の絵柄や、縁起の良い吉祥文様を集めて、季節ごとに使い分けるのも日本らしい楽しみ方です。
器の中に小宇宙。そんな表現がぴったりの豆皿は、まさに「見る楽しみ・選ぶ楽しみ・使う楽しみ」の三拍子がそろった存在です。
軽やかなコーディネートで食卓に彩りを
例えば一人分の食事を、中皿と小鉢の組み合わせで用意するとき、小皿や豆皿を加えるだけで、ぐっと食卓の表情が引き締まります。中皿は洋食にも使える形や釉薬のものを選び、飯碗には愛らしい絵付けを。そこに小皿でアクセントを添えると、全体のバランスが整い、食事の時間が楽しいものになります。
磁器だけでなく、土ものの小皿を一枚加えると、温かみが加わり、食卓に奥行きが出ます。素朴な焼締や粉引の豆皿は、盛る料理を引き立てる名脇役。繊細な絵付けの小皿と組み合わせることで、静と動のバランスも生まれます。
いい器とは、「自分らしい器」
「いい器を使う」とは、必ずしも高価な器をそろえることではありません。大切なのは、そこに自分の好みやこだわり、センスが表れること。気に入って手に取った小皿が、たとえ一枚ずつ違っていても、それらをどう組み合わせ、どう楽しむかが食卓を彩ります。
買い集めた小皿や豆皿が、棚の中で眠っていませんか? 形も色も大きさもばらばらな器たちでも、コーディネート次第で立派な主役になります。大切なのは「どう使うか」、そして「どんな気持ちで使うか」。
手のひらに収まる小さな器に、四季や暮らしのリズム、そして自分らしい美意識を映し出す。小皿と豆皿は、そんな“いとしい器”なのです。

赤絵花弁紋 菊型手塩皿
サイズ Φ9.5cm
素材 磁器
生産地 日本









