


炊き立ての白い湯気がふわりと立ちのぼるとき、「器は料理の一部」という言葉の意味がすっと腑に落ちます。日本のお米は、長い歴史の中で産地ごとに品種改良が重ねられ、まるで宝石のように磨かれてきました。値段は上がりつつありますが、成長期の子どもたちが気兼ねなくお腹いっぱい食べられる、そんな未来を願わずにはいられません。



主食の幅が広がった現代でも、飯碗は日本人にとって人生の相棒です。お食い初めにはじまり、子ども時代、学生時代、独り暮らし、家族の食卓——人はいくつの茶碗に人生を重ねるのでしょう。かつて飯碗は個人の所有物であり、手に吸いつくように馴染む形こそが「自分の茶碗」の条件でした。
毎日手にする器だからこそ、好みのものをいくつか持ってみるのも楽しいものです。染付の藍、土ものの温もり、釉薬の景色、軽やかな磁器の白…。同じご飯でも茶碗を替えるだけで、不思議と味わいも気分も変わるのです。
少しの工夫で、食卓はぐっと贅沢になります。飯碗の個性が、日々のご飯をあたたかく包み、家族の時間にそっと寄り添ってくれるでしょう。
今日の茶碗は、どれにしましょうか。そんな小さな選択が、豊かな食卓をつくります。




自然釉薬が優しいご飯茶碗
染付網目飯碗・阪東晃司《飯碗・ご飯茶碗・12.8cm》
おおよそ直径12.8×高さ5.4cm



