


唐津焼に触れると、まず鼻腔に届くのは、どこか懐かしい土の香りだ。赤くざんぐりとした土、白くねっとりと艶を帯びる土、そして窯から出たばかりのきつね色。いずれも化粧を施さずとも、土そのものが主役として立ち上がってくる。
その素地の上に描かれる鉄絵は、決して饒舌ではない。けれど一筆に宿る力は強く、草花や幾何の気配をさらりと伝える。描くというより、土と呼吸を合わせて置く。その距離感が、唐津焼の美しさを決定づけているように思う。
釉の溜まりや焼き締まり、炎の痕跡までが景色となり、使うたびに表情が深まる。華やかさを競う器ではないが、日々の食卓でこそ真価を発揮する。盛る料理を選ばず、静かに受け止め、やがて器のほうが記憶を重ねていく。
唐津焼は、土と火と人の時間が重なって生まれる、実直な物語だ。手に取ると、語りかけてくるのは技ではなく、土の声。その声に耳を澄ます愉しみが、今日もまた一椀、一皿に宿っている。

唐津焼:絵唐津千鳥文様角小向・中村恵子《小鉢・9.0cm》

唐津焼:絵唐津麦わら文様スープ碗・中村恵子《小鉢・250ml・13.0cm》





唐津焼:朝鮮唐津掛け分け皿・中村恵子《中皿・17.0cm》




唐津焼:黒唐津六寸五分皿・中村恵子《中皿・6.5寸・20.0cm》

| 唐津焼:絵唐津小皿・C・中村恵子《小皿・12.0cm》 |




唐津焼:絵唐津手塩皿・A・中村恵子《豆皿・扁形皿・手塩皿・7.7cm》

唐津焼:絵唐津四方小向・中村恵子《小鉢・8.2cm》



