和食器の文様「流水」は、日本人の自然観や季節感、美意識を色濃く反映した伝統的な意匠のひとつです。その流れるような線は、水の動きを象徴し、静けさの中にも生命のうごめきを感じさせる文様として、多くの和食器や着物、建築装飾にも取り入れられてきました。

有田焼 福泉窯 染付流水菊 長角新焼物皿
【産地】有田焼
【サイズ】24.0×12.0cmx2.8cm
【素材】磁器
■ 流水文様とは
流水文様は、線で水の流れを象徴的に表現した模様です。細く曲線を描いた線が幾重にも重なり、時にうねり、時に直線的に流れ落ちるその姿は、川のせせらぎや雨のしずく、滝の音を連想させます。古くは平安時代の『源氏物語絵巻』などにも見られ、公家文化の中で発展しました。
■ 文様の意味と象徴
流水文様には、単なる水の流れ以上の意味が込められています。
・清らかさと浄化
水は古来より、心身を清める力があると信じられており、流水文様は「けがれを流す」意味を持ちます。
・永遠の流れ・時の移ろい
とどまることなく流れる水は、時の流れや自然の摂理を表し、移ろいゆく季節や人生の儚さ、しかしその美しさも象徴しています。
・豊穣と恵み
水は稲作文化の根幹を支えるものであり、流水は命を育む象徴でもあります。
■ 流水文様の物語
流水文様はしばしば他の自然文様と組み合わせて描かれます。たとえば、
・桜と流水:春の訪れと儚い命の美しさを讃える。
・紅葉と流水:秋の深まりと物思いの季節を象徴。
・千鳥と流水:自由と旅立ち、人生の旅路の象徴。
これらの組み合わせは、季節を感じさせる器として、日本料理と一体となって食卓に詩情をもたらします。
■ 和食器と流水文様
和食器においては、器の見込み(底面)や縁、または外側に流水文様が描かれます。その曲線美は料理の盛り付けにやわらかさと流れを加え、特に冷菜や夏の料理、流しそうめんなどとの相性が抜群です。藍色の染付で表現された流水文様は、涼やかな印象を与え、見る者の心を和ませます。
■ おわりに
流水文様は、ただの装飾ではなく、「水」という日本人の心に深く根差した自然の一部を映した意匠です。器に描かれた流れには、清らかな心、美しい季節、そして命の循環という、さまざまな物語が流れているのです。食器を手に取るたびに、そんな物語にそっと思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

有田染付けシリーズ 流水花 9寸プレート
サイズ φ28 x H2.2cm
素材 磁器

流水濃(桔)円渕浅鉢15cm 手書き 波佐見焼 洸琳窯
サイズ:15.7×15.7×H4.2cm

