和食器の文様「瓔珞(ようらく)」の雅な美と祈りのかたち

渕瓔珞(赤)桔梗渕反型丸千代口 和食器
渕瓔珞(赤)桔梗渕反型丸千代口

日本の伝統文様の中でも、特に優美で神秘的な雰囲気を持つ「瓔珞(ようらく)」文様。仏教美術に深く根ざしたこの意匠は、和食器の装飾としても静かに輝きを放ちます。今回は、この「瓔珞」文様の意味や背景、そしてそこに込められた祈りのかたちについてご紹介します。

渕瓔珞(青)桔梗渕反型丸千代口
渕瓔珞(青)桔梗渕反型丸千代口

渕瓔珞(青)桔梗渕反型丸千代口

サイズ φ6.2 x H2cm
素材 磁器

   

   

渕瓔珞(青)桔梗渕反型珍味入

サイズ φ7 x H4.5cm
素材 磁器

   

渕瓔珞(青)桔梗渕反型珍味入
渕瓔珞(青)桔梗渕反型珍味入

   

■ 瓔珞とは? ― 仏教由来の装飾具

「瓔珞(ようらく)」とは、もともと古代インドの貴族や聖職者が身につけていた装身具のこと。宝石や金属を連ねたネックレスや胸飾りのようなもので、特に仏像の装飾として仏教伝来とともに日本に広まりました。

仏像をよく見ると、胸元から垂れ下がる連続した装飾がありますが、それが瓔珞です。この装飾は単なる華美な装いではなく、仏の尊さや荘厳さを表す神聖な意匠なのです。

■ 文様としての「瓔珞」 ― 格調高いリズムと祈りの象徴

やがて瓔珞は、仏像や仏堂の装飾を超えて、屏風や襖、漆器、そして和食器などの意匠としても用いられるようになります。文様化された瓔珞は、曲線を描きながら連なる珠玉のような連続文で、優雅な垂れ飾りの形をしています。

器の縁を飾るように描かれたり、中央から優しく垂れるように配されたりすることで、静かで荘厳な空気感を演出します。これは、単なるデザインではなく、「平穏」や「浄化」、「福徳」といった願いが込められているのです。

■ 物語性と現代の意味づけ

「瓔珞」には、仏を敬い、心を整え、日々の暮らしを清らかに保ちたいという祈りの文化が宿っています。特に、華やかな金襴や蒔絵などにこの文様が取り入れられることが多く、茶道具や祝いの席に使われる器に見られます。

現代においても、瓔珞文様は「しずかな祝福」を象徴するものとして、大切なひとときを彩る器に好んで使われています。華美すぎず、けれど格調高いその姿は、現代の暮らしにも不思議と調和します。

■ 終わりに ― 瓔珞文様の器で日常にひとしずくの祈りを

仏の胸元を飾る神聖な装飾から生まれた「瓔珞」文様。その美しさは、単なる装飾を超えた深い意味を持ちます。もし、食卓でこの文様に出会ったら、それは器が静かに語る「祈り」のかたちかもしれません。

日々の暮らしの中で、そっと心を整えてくれるような器。瓔珞文様のある和食器は、そんな小さな安らぎを運んでくれる存在なのです。

渕瓔珞(赤)桔梗渕反型丸千代口
渕瓔珞(赤)桔梗渕反型丸千代口

渕瓔珞(赤)桔梗渕反型丸千代口

サイズ φ6.2 x H2cm
素材 磁器

   

   

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