和食器の中でも、飾らない美しさと土の温もりが感じられる技法の一つに「刷毛目(はけめ)」があります。これは、化粧土を施す際に刷毛(はけ)を用いて塗布し、その跡を意図的に残すことで、独特の風合いやリズムを生み出す装飾技法です。民芸陶器をはじめ、多くの窯場で親しまれてきた技法でもあります。
技法としての「刷毛目」
刷毛目は、素地(主に鉄分の多い赤土)に白い化粧土(白泥、白土)を塗り、その際に刷毛の動きをそのまま表面に残すものです。使用する刷毛は、藁や獣毛で作られたものが多く、毛の太さや柔らかさ、塗る速度によって表情が大きく異なります。
化粧土を塗るタイミングも重要で、素地がまだ完全に乾ききらない「半乾き」の状態で施すことで、化粧土がしっかりと食いつき、はがれにくくなります。また、施釉の前に表面を軽く削って、刷毛目のタッチを強調することもあります。
色合いと質感
刷毛目の魅力のひとつは、白と土の色のコントラストです。赤土に白化粧を施すことで、まるで雪が地面にうっすら積もったような景色が広がります。釉薬には透明釉がよく使われ、焼き上がると白化粧の下にある刷毛の動きが透けて見える、柔らかで優しい印象に仕上がります。
焼成によっても雰囲気は変わり、薪窯や炭化焼成によっては、白土の上に灰がかかり、かすかに灰青やベージュのような色味が加わることもあります。


状態と景色としての「刷毛目」
刷毛目は、手仕事ならではの「不均一さ」にこそ価値があります。刷毛の跡が濃淡を生み出し、時に素地が顔を出すことで、器の表情がぐっと豊かになります。まるで書の筆致のような線の動きには、作り手の息遣いやリズムが感じられます。
使い込むほどに釉薬がやや落ち着きを見せ、化粧土の部分が少しずつ馴染んでいくのも楽しみの一つです。
刷毛目のある器の使い方
刷毛目の器は、日常使いにとても適しています。飯碗や鉢、平皿など幅広いアイテムに見られ、素朴な料理――たとえば、塩むすびや煮物、焼き魚など――を盛ると、その料理の素朴さと器の味わいが響き合います。
とりわけ、自然光のもとで見ると刷毛目の陰影が美しく浮かび上がり、料理を引き立てながらも器そのものが景色となって食卓を彩ります。
刷毛目は、決して派手な技法ではありません。しかしその素朴さの中に、確かな技と美意識が宿っています。一筆一筆が生み出す揺らぎの美しさ、土と白のコントラストの中にある静かな詩情。それこそが、和食器の中にある「用の美」の真髄なのかもしれません。
ぜひ、手にとって、使い込んで、その景色の変化も含めて楽しんでいただきたい器です。





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