和食器の世界には、自然界の草花に着想を得た優美な器形が数多くあります。その中でもひときわ気品に満ちた存在が「桔梗形(ききょうがた)」です。古来より日本人に親しまれてきた秋の花「桔梗」を模したこの器形は、見た目の美しさはもちろん、盛り付けに豊かな表情をもたらすことで知られています。


薄手の生地は桔梗型に模された優雅な小鉢。更に格の高い瓔珞紋が絵付けされた品の良い仕上がりです。
洸琳窯 桔梗渕瓔珞小鉢
サイズ φ12 x H5cm
素材 磁器
生産地 有田焼
■ 桔梗の花をかたどった造形
桔梗形は、器の縁を五つの花弁状に波打たせ、まるで桔梗の花が咲いたかのような姿に成形されたものをいいます。桔梗の花は五弁で左右対称の星形を描き、日本の伝統文様や家紋にも多く用いられてきました。その凛とした形状と静かな美しさが、器のデザインにも息づいています。
器の口縁に五つの優雅な凹凸を持たせることで、料理を盛った際に自然と視線が中心へと導かれ、品のある印象を醸し出します。単に華やかさを演出するだけでなく、視覚的なリズムを加えることで、料理の盛りつけにも立体感と奥行きを与えるのです。
■ 茶席や懐石料理でも重宝される器形
桔梗形は、主に小鉢、向付(むこうづけ)、菓子器などとして用いられます。とくに茶席では、四季の趣を感じさせる器として、秋口の取り合わせに重宝されてきました。繊細な和菓子や一品料理をそっと乗せるだけで、全体に風情ある静謐さが漂います。
懐石の場では、煮物や酢の物などを盛る器としても活躍します。桔梗形の曲線が料理の輪郭を柔らかく引き立て、まるで花の上に料理が咲いているかのような趣を生み出します。
■ 桔梗形の魅力と使い方
桔梗形の器は、派手すぎず控えめながらも、確かな存在感を持っています。和食のみならず、洋風の前菜やデザートとも相性がよく、現代の食卓にもなじみやすい点が魅力です。
また、釉薬や焼き肌によって印象が大きく異なり、白磁の桔梗形は清楚で端正、織部や唐津など土味のあるものでは、より柔らかく温かな表情を見せます。
「桔梗形」は、まるで器の中に一輪の花が咲いたような、静かな華やかさを持つ器形です。その優美な造形は、料理の魅力をそっと引き立て、食卓に四季の気配と上品な趣を添えてくれます。季節の草花を映す器のかたち――その繊細な感性が息づく桔梗形は、日本の和食器文化の奥深さを感じさせてくれる存在です。

有田焼 白抜き菊花 桔梗型小皿
サイズ φ10.3×H2.0cm
素材 磁器
生産地 有田焼

有田焼 桔梗渕豆皿 小皿
サイズ φ110×H25(約mm)
素材/材質 陶磁器





