京焼清水焼の器を手にするたび、ふっと胸の奥に懐かしさが広がります。それは、どこか日本人の心に深く根差した「和」の世界観が、このうつわ一つに息づいているからかもしれません。


今回ご紹介するのは、村田幸之介氏(六齋窯)による「山水あみ茶漬(ご飯茶碗)」という作品。この茶碗を見て触れた瞬間、まるで京都の静かな山間に分け入るような気持ちになります。その魅力は、内側に描かれた活き活きとした山水画と、外側に施された網手模様にあります。
内側の山水画は、まるで掛け軸に描かれた水墨画をそのまま器に閉じ込めたかのような美しさ。筆の柔らかなタッチが生み出す世界は、ただの絵ではなく、見る者の心をそっと包み込むような温もりを感じさせます。この山水画を茶碗の内側に描くという技術は、職人の長年の修練の賜物。その緻密さと繊細さに息を呑みます。


外側の網手模様には「幸せを掴む」という意味が込められており、贈り物としてもぴったり。しかも、この網手模様もすべて手描き。カーブした表面に手描きで描き上げる職人技は、ただただ圧巻です。
この茶碗の特長は見た目だけに留まりません。非常に軽くて丈夫な設計もまた、日常使いを大切にする日本の美意識の表れです。器の生地は独自のブレンドが施され、フチは欠けにくいよう厚く、胴は軽さを出すために削られています。この削りによって生まれた胴の溝が、手に取った際の馴染みの良さを実現。使いやすさを追求した結果、手にしたときの感動が一層増します。
京焼は歴史とともに育まれ、仁清や乾山といった名匠たちが残した技法や様式を受け継ぎながら進化してきました。この「山水あみ茶漬」もその系譜の中にある一品であり、日常生活の中に京都の雅を取り入れる最良の選択の一つです。
茶碗一つ。けれどその一つが、日常の何気ないひと時を特別なものに変える力を持っています。この眺めて美しい、手に心地よい、そして使って感動する器を通じて、日々の暮らしを豊かに彩ってみませんか。
直径13cm×高さ5.8cm。小ぶりながらも、ぎゅっと詰まった日本の美を、ぜひ手に取って感じてください。
京焼・清水焼 村田幸之介(六齋窯) 山水あみ茶漬(ご飯茶碗)


京焼・清水焼 村田幸之介(六齋窯) 山水あみ茶漬(ご飯茶碗)
寸法 直径13cm×高さ5.8cm

