九谷焼・飯田屋――色彩と筆致に宿る美の粋

九谷焼 中皿 セット 飯田屋 和食器
九谷焼 中皿 セット 飯田屋

日本のやきもの文化の中でも、ひときわ鮮やかな存在感を放つのが「九谷焼(くたにやき)」です。加賀百万石の地に根ざしたこの磁器は、時代の波に揉まれながらも常に独自の美意識を貫き、特に「飯田屋」様式は、緻密な筆と豊穣な色彩により多くの愛陶家を魅了してきました。

九谷焼 鉢 飯田屋 6号
九谷焼 鉢 飯田屋 6号

九谷焼 鉢 飯田屋 6号

材質:磁器
寸法:[商品] 径18×高6.5cm
箱:化粧箱

   

   

■ 九谷焼の起源と発展

九谷焼のはじまりは江戸初期、1655年ごろ(万治年間)に遡ります。加賀藩の支藩・大聖寺藩が九谷村(現在の石川県加賀市)で良質な陶石を発見し、磁器の生産を開始したのが起点です。この初期に作られた作品は「古九谷(こくたに)」と呼ばれ、釉下に鮮やかな赤・青・黄・緑・紫の五彩を駆使した「五彩手(ごさいで)」が特徴です。

しかし、古九谷は50年ほどで生産が途絶え、その後、19世紀初頭に再興されました。以後、多彩な様式が生まれ、九谷焼は一層華やかに発展します。

■ 九谷焼の多様な手法

再興九谷以降、以下のような様式が登場します。

・青手(あおで):青(緑)を主調とした濃厚な色面と力強い筆致。装飾性が高く、現代でも人気。

・祥瑞手(しょんずいて):中国の明代・祥瑞(しょんずい)様式に倣い、藍の染付で幾何学模様や風景が描かれます。端正で格調高い作風。

・南京手(なんきんで):中国・南京から輸入された陶磁に倣い、柔らかな輪郭と余白を活かした文様構成が特徴。

・五彩手:赤・青・緑・紫・黄の五色を使った、古九谷直系の様式で、力強く大胆な色絵が特徴。

こうした多彩な表現の中でも、ひときわ異彩を放つのが「飯田屋(いいだや)」の作風です。

飯田屋様式――緻密と躍動の融合

「飯田屋」は、幕末から明治初期に活躍した名工・飯田屋八郎右衛門によって大成された様式で、「赤絵細描(あかえさいびょう)」の極致ともいえる作品を多数残しました。

● 赤絵細描の美

飯田屋の赤絵は、単なる色面ではなく、筆先の一毛一画が感じられるほどの精密な文様が広がります。唐草、菊花、鳳凰、幾何文などが、細密にびっしりと描き込まれる様子は、まるで絹織物のような繊細さを持ちながら、磁器ならではの力強さも秘めています。

色彩は赤を基調に、金をあしらった豪奢な構成が多く、そこに青(群青)、緑(ビードロ釉)などの差し色がアクセントとして効いています。その細やかさと気迫は、静と動の両面を感じさせ、飯田屋の赤絵には静謐さと躍動感が共存しているといえるでしょう。

● 飯田屋の意匠の特徴

・緻密な文様構成:全面を埋め尽くすような装飾でも、決して過剰にならない構成美。

・赤絵金彩との調和:金彩が赤絵に溶け込み、豪華ながらも落ち着いた印象。

・写実と装飾の融合:鳥獣草花を写実的に描きつつ、全体の構成は意匠的。

現代に息づく飯田屋の美

今日の九谷焼の作家たちの中には、飯田屋の赤絵細描を継承・発展させている人々も多くいます。現代的な感性と融合し、暮らしの中に溶け込むアートピースとして、再評価されています。

例えば、湯呑や皿、鉢などの小品においても、飯田屋の作風を受け継ぐものは、使うたびに新たな発見がある奥行きを持ち、和食器としての機能性と美術工芸としての価値を両立しています。

九谷焼・飯田屋の器を手にするとき

九谷焼の飯田屋様式の器は、見て楽しみ、触れて感じ、使うことで深まる“うつわ”の世界です。そこには、江戸から明治、そして現代へと続く、日本美の連なりがあります。もしあなたの食卓にひとつ、飯田屋の赤絵があったなら、日々の暮らしがどれほど豊かに、彩りあるものとなることでしょうか。

九谷焼 7号皿 飯田屋
九谷焼 7号皿 飯田屋

九谷焼 7号皿 飯田屋

商品サイズ 径21cm
箱の種類 木箱

  

   

九谷焼 中皿 セット 飯田屋
九谷焼 中皿 セット 飯田屋

九谷焼 中皿 セット 飯田屋

素材 磁器
サイズ 径 約15.8cm
外装 化粧箱

   

   

手のひらの美学 ― 和食器のぐい呑み