日本の和食器において、深く吸い込まれるような黒釉の美しさで知られるのが「天目(てんもく)」釉です。その起源は中国・宋代の建窯(けんよう)にまでさかのぼり、禅宗とともに日本へもたらされ、室町時代には茶道具として高く評価されました。現在では茶碗だけでなく、皿や鉢など日常の器にもその技法が応用され、現代の食卓にも深みをもたらしています。
油滴天目──金属のような煌めき
天目釉の中でも特に有名なのが「油滴天目(ゆてきてんもく)」。黒釉の上に、まるで油が浮いたような銀色の斑点模様が現れるのが特徴です。この斑点は微妙な温度管理や還元焼成によって生まれる結晶で、まるで金属のように光を反射します。一つとして同じ表情が出ないため、一期一会の美しさを持つ釉薬といえます。
禾目天目──すっと流れる稲穂のような筋模様
「禾目(のぎめ)天目」は、黒釉の表面に稲穂(のぎ)のような縦筋状の模様が現れるもので、流れ落ちた釉薬が縞模様を生み出します。流動する釉薬が重力と炎の力で描く自然の軌跡は、静かな中にも動きを感じさせ、侘び寂びの美を体現しています。
曜変天目──天体のような神秘のきらめき
「曜変天目(ようへんてんもく)」は、現存するものが世界に3碗しかないとも言われる幻の名品・・南宋時代(12~13世紀)世界に3点のみ現存する中国陶磁の至宝で有名。黒釉の中に、瑠璃色や紫、青などの輝きがまばゆく変化し、まるで宇宙の星雲を閉じ込めたかのような表情を見せます。再現は極めて困難とされ、奇跡的な窯変によってしか生まれないこの釉薬は、現代の陶芸家たちにも挑戦の対象であり続けています。
現代に広がる「天目」の表現──九谷焼の天目銀彩
近年では、伝統的な天目釉を受け継ぎながら、独自の表現を加える動きも見られます。たとえば、石川県の九谷焼では「天目銀彩(ぎんさい)」と称して、黒釉の上に銀彩を施し、焼成によってさまざまな色彩を引き出す手法が注目を集めています。
銀の成分が酸化・還元などの焼成環境によって色を変化させ、赤、青、紫、緑など、まるでオーロラのような輝きが現れます。これにより、従来の天目釉が持つ静謐で重厚な雰囲気に、華やかさと幻想性が加わり、若い世代にも人気です。
伝統と革新が交錯する釉薬「天目」
天目釉は、時代を超えて人々を魅了し続ける釉薬です。その黒の奥にある無限の表情は、まさに器の中の宇宙。油滴、禾目、曜変といった古典的な様式から、現代の九谷焼による天目銀彩のような革新まで、天目は常に進化を続けています。食卓にひとつ添えるだけで、そこに静かな存在感と美の深みをもたらしてくれる天目の器。和食器の醍醐味を知るには、まず一碗の天目を手に取ってみるのもよいかもしれません。

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