和食器の形には、日本の自然や風物を映した多様な意匠が見られますが、その中でも「菱(ひし)」は、幾何学的でありながらも自然に根ざした優美な器形です。
「菱」の名は、池や沼に自生する水草「菱(ひし)」の実の形に由来しており、古くから日本人の生活の中に親しまれてきました。

菱形の由来と特徴
菱形とは、正方形を斜めに引き伸ばしたような四角形で、角の角度や縦横の比率によって印象が大きく変わります。シャープな印象を与える鋭角の菱形もあれば、ゆったりとした角度のものは柔らかく親しみやすい雰囲気になります。この角度の違いにより、器に「伸びやかさ」や「明るさ」が生まれ、食卓にリズムと変化を与えるのです。


菱形は、古くは家紋や織物、建築装飾にも用いられた格式ある形であり、対称性のある美しさと調和感が魅力です。器としての菱形は、直線的でありながらどこか有機的な印象を与え、現代のモダンな食卓にもよくなじみます。


菱形の器の用途と魅力
菱形の器は、取り皿や銘々皿、小鉢などとして用いられることが多く、見込み(内側の底面)を対角線上に活かすような盛り付けが映える形状です。たとえば、お刺身や前菜の一品をすっと置くと、対角のラインが料理の「動き」を強調し、器と料理が一体となった演出が可能になります。
また、重なりが良く、収納しやすい点も日常使いに適しており、見た目の美しさと機能性を兼ね備えた器形です。陶器だけでなく、漆器や木製の膳などでも菱形は好まれ、和の空間を引き締めるアクセントとして活用されています。


「菱(ひし)」の器は、自然から着想を得た端正な形の中に、日本人の美意識と機能性が息づいています。その角度に応じて変化する印象は、使い手の感性や料理の工夫によってさらに引き立ちます。食卓に一枚加えるだけで、いつもの献立が凛とした趣を帯びる――そんな静かな魅力が、菱形の器にはあります。
福泉窯 有田焼 有田染付けシリーズ 古染 菱型菊割向付


福泉窯 有田焼 有田染付けシリーズ 古染 菱型菊割向付
サイズ W18.0 x D12.5 x H4.0cm
素材 磁器
福泉窯 有田焼 有田染付けシリーズ 花唐草 菱型菊割向付


福泉窯 有田焼 有田染付けシリーズ 花唐草 菱型菊割向付
サイズ W18.0 x D12.5 x H4.0cm
素材 磁器
福泉窯 有田染付けシリーズ 桜流水(変り絵)菱形菊割向付


福泉窯 有田染付けシリーズ 桜流水(変り絵)菱形菊割向付
サイズ D10.5 x W16 x H 4.5cm
素材 磁器

