滋賀県南部、甲賀市信楽町。ここに日本六古窯のひとつ、信楽焼(しがらきやき)のふるさとがあります。信楽焼の魅力は、何よりも「土の力」で、そのまま器の表情となって立ち現れることにあります。


赤い火色と自然釉の景色
信楽焼の特徴といえば、まず思い浮かぶのはそのざんぐりとした赤茶の肌。焼成時の炎によって生まれる火色(ひいろ)が器全体を染め、表面にはまるで霰(あられ)のように白い長石の粒が顔をのぞかせます。そして、薪窯で焼かれることで自然に降りかかった灰が、溶けて苔のような灰かぶりを生み、流れるような緑釉(りょくゆう)が器肌を彩ります。
このような自然の作用によって生まれる文様を「景色」と呼びますが、まさに自然と窯の炎との対話によって生まれた、千変万化の美が、信楽焼の真髄といえるでしょう。
茶陶としての歴史と進化
信楽のやきものは、もともと壺や甕(かめ)といった日常雑器を中心に作られていました。しかし、室町時代になると、それらが花入れや水指(みずさし)として転用され、茶の湯の世界で脚光を浴び始めます。桃山時代には、織部好みのゆがみを加えた大胆な造形の茶陶が多く焼かれ、信楽は名だたる茶人たちに愛される窯となりました。
江戸時代に入ると、茶の湯の流行にあわせて小ぶりで技巧的なものが好まれるようになり、釉薬を施して焼成する作風も広がりましたが、信楽本来の魅力である焼締め陶(やきしめとう)は、その後も粛々と作り続けられていきました。


大壺の伝統と現代の造形
かつて信楽は、大壺や大茶壺の名産地としても知られ、戦前までは輸送用の大きな容器として全国に出荷されていました。また、火色に白い斑点が散る、上品な「あられ壺」は、焼締め陶の美のひとつの完成形としても語られます。
今日では、こうした伝統を継ぐ一方で、現代的な感性に根ざした自由な造形作品も多く生み出されています。陶芸作家たちは、土と火の表情を見極めながら、信楽の土がもつ素朴で力強い魅力を、さまざまな形で表現しています。


ドラマ「スカーレット」と信楽焼
2019年から2020年にかけて放送されたNHKの朝ドラ『スカーレット』は、信楽を舞台に、女性陶芸家の人生を描いた物語でした。焼き物と共に生きる喜び、葛藤、家族、そして信楽という土地の息吹が、全国の視聴者に深い感動を与えました。
このドラマをきっかけに、信楽焼は改めて多くの人の関心を集め、窯元や作家のもとを訪れる人も増えています。
信楽焼は、土と炎、そして作り手の心が響き合う器。
その肌に刻まれた時間と景色を、日々の食卓や暮らしのなかで感じてみてはいかがでしょうか。
信楽焼:信楽向付・角・深・辻村塊《中皿・16.0cm》
信楽や伊賀のような釉をかけないで高温で焼くものは、一つとして同じものは出来ません。火のありよう(火の当たり方や温度、窯の中の置く場所)によってさまざまに変化するのです。それがまた人間技ではない予測不能の面白さとなります。陶芸家たちはその妙をたのしみますし、私たちも食卓に持ち込み、さまざまな変化をたのしみます。
土をそのまま見せてくれるこの種のやきものは、何か大地の力を与えられるように思われます。是非食卓に導入してください。たっぷり水を沁ませて果物、おさしみ、焼物など、たのしんでみて下さいませ。
工芸店ようび 店主 メッセージ


このたくさんの丸い模様は、貝殻の趾です。窯から出すと貝殻は灰となり、うつわには貝の趾が線や緋色となって現れます。
信楽焼:信楽向付・角・深・辻村塊《中皿・16.0cm》
おおよそ16.0 × 16.0 × 高さ3.0cm


信楽焼 万能プレート皿


信楽焼 万能プレート皿

信楽焼 万能プレート皿


信楽焼 万能プレート皿
直径240×高さ20mm
※手作りの為、多少の誤差が御座います。

