■ 伊賀焼とは
伊賀焼(いがやき)は、三重県伊賀市周辺で焼かれる陶器で、平安時代にそのルーツを持つとされる非常に歴史ある焼き物です。特に茶の湯文化と共に発展し、千利休の影響を受けた「侘び寂び」の美意識が色濃く宿ります。
■ 伊賀焼の特徴と魅力
「火間(ひま)」と「ビードロ釉」
伊賀焼の魅力は、何といっても薪窯での焼成によって生まれる大胆な自然釉の景色です。土の表面には灰が降り積もり、溶けてガラス状になることで緑がかった「ビードロ釉」が現れます。また、炎が直接当たってできる黒い焼き跡「火間(ひま)」も伊賀焼ならではの景色です。
粗く力強い土肌
使用される伊賀の陶土は、非常に耐火性が高く粒子が荒いため、焼成後も土の表情が生きています。ゴツゴツとした野趣ある手触りが、料理を引き立てる舞台装置のような存在感を持ちます。
割高台・耳付き・面取りの美
茶陶では、意図的に欠けたような「割高台」や、持ち手のような「耳」、無骨な「面取り」が多く見られ、形の不均一さそのものが美とされるのも伊賀焼の特徴です。
■ 現代の伊賀焼
現在は花器、茶碗、酒器のほか、耐火性を活かした土鍋なども人気です。現代作家による新しい解釈の作品も多く登場しており、アートピースとしての価値も高まっています。

■ 灰釉とは
灰釉(はいゆう)は、草木の灰を原料とした自然釉の一種で、日本の古陶に多く見られる伝統的な釉薬です。原始的な灰釉は奈良時代から使われ、平安~鎌倉時代には青灰色や黄緑色の「青磁風」の色合いで人気を博しました。
■ 灰釉の特徴と見どころ
やわらかな透明感と流れ模様
灰釉は透明〜半透明で、焼成の具合によって自然な流れ模様(流釉)が生まれます。器の表面を覆いながらも、下地の素地の風合いが透けて見えるため、焼き物ならではの奥行きを感じさせます。
自然由来の釉薬の魅力
釉薬の主原料が草木の灰という点が、灰釉の最大の特徴です。使う植物の種類や灰の精製方法、焼成温度などで微妙に発色が変わるため、同じ「灰釉」と言っても千差万別の表情が生まれます。
時間とともに味わいを増す
灰釉の器は、使い込むことで釉薬の艶がやや落ち着き、風合いが増していく「育つ器」です。日々の食卓に取り入れることで、使い手との対話が深まるうつわです。
■ 伊賀焼との関係
伊賀焼にも灰釉がよく用いられており、荒々しい素地とのコントラストが絶妙です。ビードロ釉と灰釉が重なり合うことで、偶然の美=「景色」が生まれ、手に取るたびに発見があるでしょう。
■ まとめ:日常に「自然の景色」を添える器
伊賀焼と灰釉はいずれも、「自然」と「炎」が生み出す偶然の美を大切にする器です。見た目の華やかさではなく、素朴でありながら深い表情をたたえ、料理や空間に静かで力強い存在感を与えてくれます。使い続けることで魅力が増すこれらの器は、日常に自然と調和する豊かさをもたらしてくれることでしょう。








